ビニールクロスのデメリット 偏見と独断
きららホーム代表の井上隆元です。
前回は、ビニールクロスのメリットと、使われる理由を書きました。
便利なものには気を付けるべき点もあるもので、
化学物質アレルギーのクロス職人だった私が
知っているデメリットを書いてみます。
よく言われるのは、
素材が塩化ビニール(プラスチックの一種)、
ビニールを柔らかくするための可塑剤、
ふくらますための発泡剤、
そして着色料が入っているから良くない、というもの。
なるほど、言われる通りのものが使われていて、
化学物質である限り、体に良くないものでしょう。
でもそれを言うなら、TVも冷蔵庫も洗濯機もエアコンも化繊の服も、
プラスチックと添加剤が大量に使われています。
クロスは、法律によって揮発成分が規制されていますが、
家電や安い家具類には、規制はありません。
そして未だに、クロスの糊にはホルムアルデヒドが含まれていると
言っている人もいらっしゃるようです。
クロスは、建築業界の中で最も早く、
室内環境基準をクリアした建材のひとつです。
輸入ものの糊でもない限り、ホルムアルデヒドは添加されていません。
これらはビニールクロスが、 いわゆる工業製品であるから
良くないにと決まっているいう偏見に近いものかもしれません。
ビニールクロスのデメリットは、もっと別のところにあるのです。
デメリットその1 水蒸気を通しにくい
ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは、水に溶ける性質ですので、
合板や構造用集成材などから揮発したこれらが、
水蒸気に溶けて、空気中を漂います。
ビニールクロスは水蒸気を通しにくいので、
結果的に部屋の中に、揮発物質が長時間漂うことになります。
デメリットその2 表面結露
建物の断熱性能が低いと、まれにクロス表面に結露することがあります。
換気が良くないと、水分を好むダニやカビの温床になってしまうことも。
デメリットその3 柔らかいので傷がつきやすい
クロスの多くは柔らかいので、引っ掻き傷が付きやすいです。
表面を強化した固いタイプなら、
石こうボードを破壊するほどの衝撃でなければ、
比較的安心です。
デメリットその4 静電気
バチッ、とくるアレではありません。
とても弱い静電気ですが、空気中の汚れを付着させてしまいます。
こんなところでしょうか(私の独断です)。
私が感じていることを率直に言えば、
これらのデメリットはビニールクロスだけではなく、
建物全体で考えるべき問題ばかりのように思えるのです。
このうち、デメリット1と2は、けいそう土などの
環境クロスを使えば、軽減することができます。
しかし発生源を抑えない限り、根本的な解決ではありません。
大手ハウスメーカーでは、集中換気を行って強制排出しています。
地域の住宅会社の取り組みは千差万別で、
発生源をなるべく減らすとか、自然素材に特化したりしています。
ローコスト会社は、価格の面で積極的ではないようです。
これが、 元クロス職人が知るビニールクロスのデメリットです。
次は、環境クロスについてです。
夢ハウスパートナー 株式会社きららホーム
代表 井上隆元
ビニールクロスのデメリット 偏見と独断